靴を語る多くの人の論調として、「ある程度重い靴の方が、振り子の原理で歩きやすい。」というのがあります。
私は、この考えには賛同しません。
そもそも、重い方が良いのなら、ソールを鉄で作ったり、中敷を鉄で作ったりして強引に重くすれば、いくらでも歩きやすくなるはずです。
さすがにそんなことはないというのは、誰でもすぐに気づくと思います。
では、「ある程度重い」という表現は、どうでしょう?
私が調べた範囲では、「何グラム以上で何グラム以下の靴が歩きやすい。」と定量的に示した資料は、ひとつも見つかりませんでした。みんな、中途半端な知識で語っているだけで、きちんと証明されていないのです。
仮に、「ある程度重い靴が、振り子の原理で歩きやすい。」というこということが、正しいとしましょう。
振り子の原理を靴に結びつけて表現すると、「一定の重さの物体(靴)が一定の速度で揺れる慣性が、歩くペースと一致したとき、歩きやすい。」ということになりますよね?
これはこれで、納得できる考え方ではあります。
が、ポイントは、「一定の速度で」というところです。
即ち、一定の速度でひたすら歩き続けたときに、振り子の原理は発動するということです。
靴が重ければ、歩き出す瞬間(加速)には力が必要だし、止まる瞬間(減速)にも力が必要です。
また、上り坂だと、靴を持ち上げる力も必要になります。
急な坂や階段などは、振り子の原理で歩くことは不可能です。足の屈伸で歩くからです。当然、重い靴は不利です。
そう考えると、日常生活で、振り子の原理を用いて一定の速度で平坦な道を歩き続けるって機会は、多いとは思えないんですよね。
ということで、私の結論。
靴は、基本的には軽い方が良い。
ただし、軽ければそれで良い、というわけでもないんですがね‥‥。
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